研究室のコンセプト

住環境デザイン研究室

教授 岡 絵理子

 

 住環境デザイン研究室は、2017年4月に開設されました。本研究室では特に都市における住環境学を研究しています。住環境学は、人が住まう環境を総合的に対象とする学問です。「人が住まう」=「居住」という概念は単にねぐらとして住む場所というだけでなく、人が暮らす場所全体を意味します。ですから、働く環境や愉しむ環境を含んだ人の暮らす場の全てを研究の対象としています。経済価値にとらわれず、人々が心から豊かに暮らすことのできる場、その環境を考えるための学問です。

 本研究室は住環境学について研究することに加え、その実現に向け実践的に活動すること、さらに提案することも含め研究することを目指していますので、その思いを込めて、住環境学+デザイン=住環境デザイン研究室としました。

 具体的には、住まい、住まいが集まっている地域、集落など、建物が集まり都市を形成している空間の、建物の内外を問わず研究対象として、そこで展開される人々の暮らし、生業(なりわい)、文化を含め住環境として調査・研究の対象とします。フィールドに立ち、体験的に調査・研究することにより、人々が豊かだと感じることのできる住環境形成のための研究を目指しています。

 具体的には

1)集合住宅の形態と暮らしに関する研究(国内の都市における様々は集合住宅を対象とする)

2)町並みや空間をコントロールするエリアマネジメント研究(関大前通り、団地など)

3)伝統的な環境と暮らしの融合に関する研究(伝統的な町並みなどが残る地域、エジプト・サッカーラなど)

4)その町に住む人たちが、自分たちの街を誇りに、能動的に活動を起こすことを誘発するアクションリサーチ研究(久留米、越前大野、函館など)

5)その他、研究室で継続的に実施している研究として、

  大阪における住宅を含む再開発事業等の検証研究、集合住宅における和室、植民都市における住文化融合に関する研究

などがあります。


 

助教 宮地 茉莉

 

 2021年4月に住環境デザイン研究室に着任しました。住環境には、人々の暮らしや、生業(なりわい)、文化が含まれますが、非常時と捉えられがちな災害も住環境の一部です。気候変動によって災害が頻発しているように見えますが、地球全体で人口が増加し、これまで災害脆弱地だった場所にも住まざるを得ないことも被害の要因となっています。長い歴史の中で、人々がどのように災害と共存してきたのか、現代社会においてどのように災害と向き合うべきか、日本国内にとどまらず、海外もフィールドに研究をしています。

具体的には、

1)伝統的木造住宅が残る集落における災害と暮らしの研究(オセアニア地域)

2)発展途上国における文化的背景に即した災害復興研究(バングラデシュ)

3)伝統的石造住宅が残る農村集落における長期的復興と居住環境に関する研究(イタリア)

4)農村集落における生業の継承と居住環境に関する研究(和歌山県日高郡みなべ町)

5)竹資材を用いたセルフビルド建築に関する実践研究(丹波篠山市を中心に、全国各地)

などに取り組んでいます。